すきま英語

Hiro’s Advice 3 【5エレメント – 英語習得のための解剖学】

「英語って、何から始めればいいの?」
「今の学習方法で正しいのか、不安」

良く聞く質問です。

「やっぱり文法かな? 文法苦手だし。」
「いや、話せなくちゃ意味ないから Speaking でしょう?」
「でも、ネイティブの聞き取りは難しいから、Listening じゃない?」

と、人によって様々な意見があり、結論は出ないまま、話は堂々巡りに。

確かなことは、『最終的には』 全ての面での能力の向上が必要だということです。すると、皆さんが仰るのは、

「それは分かっているけど、敢えて言うなら何を中心にやればいいの?」

分かります、そのお気持ち。

以下は、私の経験から考えた、英語力に必要な『スキル』です。
英語の『スキル』と書きましたが、これは一般的に言う「英語技能」とは異なる概念です。学校教育などでは、しばしば 「英語技能」 という言葉を見かけます。それは、以下の4技能を指します。

  • 話す
  • 聞く
  • 書く
  • 読む

これらは、文字通り「技能」であって、それらを裏付けるスキルがあるはず、と言うのが私の考え方です。

例えば、意思疎通が上手くできるように 「話す」 ためには、ある程度の語彙と文法が必要でしょう。
そして、語彙は正しく発音できなければなりません。これらの一つ一つを指して『スキル』と言っています。この投稿では《エレメント》と呼ぶことにします。

そのエレメントには、以下の5つがあります。

➀ スピーキング
➁ 文法
③ 語彙
④ 発音
⑤ リスニング

総合的な英語力のためには、5つ全てのエレメントを向上させることが必要です。つまり、4技能である 「話す、聞く、書く、読む」 ために意識して努力すべき細分化されたスキル、と言うことができます。

英語5エレメントの特徴

さて、5エレメントには明らかになっている特徴があります。それは、

(1) エレメントには、改善に即効性があるものと、そうではないものがある


(2) 最も弱いエレメントが、その人の英語能力の上限を決める

(3) エレメント間は、リンクしている

(4) あるエレメントは、ある特定のエレメントと強くリンクしている

(5) 人によって向上し易いエレメントが異なることがある





です。

以下は5エレメントの概念図です。

解説

ギアについて(1)

各エレメントは歯車(ギア)で示されています。このギアの意味は、「一つのエレメントのギアを回すことで、他のエレメントのギアも回転する」事を表しています。 

言い換えれば、一つのエレメントを強化するためには、リンクしている他のエレメントも強化する必要があり、「他のエレメントも同時に強化される」とも言えます。

➥ 英語の学習・訓練は、この連動性(リンク)を意識して行う必要があります。

ギアについて(2)

各エレメントのギアには、大きいものと小さいものがあります。大きいギアは、比較的クルクルと回すことができます。つまり、向上は比較的容易であることを示しています。小さいギアは、重たく、なかなか回ってくれません。これは、相対的により大きな努力と長い時間が必要である事を示しています。

従って、一般的にはスピーキング、語彙から入るのが良いと言えます。(語彙から入る場合は、常に例文にして学習されることを強く推奨します)

無論、これには個人差がありますので、人によっては異なるギアから入った方が良い場合もあり得ます。(私の経験では稀ですが)

➥ 各ギアの特性を理解しておくことは、効果的な英語習得に非常に重要です。全てのエレメントが同じように良くはならない、と言うことを理解しておきましょう。これは、反面、他よりも容易に、または早く向上するエレメントがあれば、そこを突破口として他のギアを回して、最終的に総合的な優れた英語力に到達することが可能である事を示しています。

各エレメントを説明します。

スピーキングの向上のために意識して、同時に、連動して習得・訓練しなければならないのは文法語彙力です。正しく相手に伝えるためには、ある程度の文法と語彙力が必要だからです。

❷ 増やした語彙を実際にスピーキングで使えるようになる為には、正しく発音することが必要です。

単語の意味が分かっていても正しく発音できなければ相手には理解されないからです。(尚、発音では “R/L” や “TH” 等の発音も大切ですが、私の実体験では、アクセントの方が数倍、重要です)

❸ 語彙(単語やフレーズ)が正しく発音できるようになって初めてリスニングでそれらが聞き取れるようになります。

自分が発音したことがない単語や、間違った発音やアクセントで覚えている単語は、絶対に聞き取れません。極端に言って、相手が言った、どこからどこまでが一つの単語か分からなかったりします。

これは非常に大切で、例えば、カナダの主要都市 トロントは、Toronto と書きますが、これを北米のネイティブが発音すると「トロノ」となり、後にある “t” の発音は非常に弱いか、発音自体を省略します。

この場合、Toronto をトロントで記憶してしまうと、いつまで経っても聞き取れないわけです。無論、北米のネイティブも occasions* に応じて使い分けており、普段はトロノと言う人が、かしこまった、オフィシャルの場でのプレゼンテーションなどでは、トロントと発音している場面も見られます。

occasions*
意味:時、場合、折、特別な出来事、行事など
発音:[əkéɪʒən] in American English
   [ʌ’keɪʒʌn] in British English

ポイントは、既知の単語、これから学ぶ単語を問わず、本場の発音を知らないと、その単語を聞き取ることはできず、極端に言って、その単語を知らないも同然だ、ということです。

相手は何回も “I’m from Toronto.” と言っているのに、「トロノって何処?何?もしかしてトリノ?」 となるのです。Toronto の意味は知っているのにも関わらず…。

別の例では、会員制量販小売店のコストコの発音があります。COSTCOと表記しますが、コスコと発音します。ここでも真ん中の “T” は消えてしまいます。

つまり、リスニング力の強化では、実は自身の発音能力が第一義的に重要であることが分かります。

このように、5つのエレメントはリンクしているので、一つのエレメントだけで英語力を向上させるのには、無理があります。

結論

5エレメント理論は、実効性のある学習内容の立案・見直しで非常に有益な知見を与えてくれます。即ち、冒頭の疑問に対する回答となり得ます。

是非とも、各エレメントのリンク(連動性)とギアの大小を意識して日々の学習に役立ててください。

\英語学習を始めたいと感じた方へ/

サービス紹介

ABOUT ME
Hiro
外資100%出資の日本支社の 元 "代表取締役社長" がお教えするビジネス英語です。 ▶︎ 英語による実務経験30年 ▶︎ 米国在の国際本部での【海外勤務歴】4年半 ▶︎ 英語による豊富な実務経験 ▶︎ 実務で頻繁に使われている独特な単語とフレーズのご紹介 入社時の英語力は、ほぼ無し。 転職を後悔した日々を経て、国際本部へ転属。 様々な状況下での英語をご指導します。

感想を送ってみませんか?

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です