こんにちは、英語ライター鈴木です。
現在、英語のコラムを書く仕事をしていますが、実は長年ひとつだけ放置してきた分野があります。発音です。
読む・聞くは何とかなる。TOEICのスコアもある。意思疎通もできる。
でも、自分の英語が「日本語話者の英語」から抜け出せている実感はまったくない。かと言って、今さら発音記号を一から勉強し直す気力もなく・・・。
そんな折に見つけたのが、ワールドトークのグループ講座「アメリカ英語 発音トレーニング」です。
キャッチコピーは「累計10,000レッスン超!日本語話者の『つまずき』を知り尽くした発音メソッド」。
日本語を交えて解説してくれるとのことで、これなら挫折せずに済むかもしれないと申し込みました。
この記事では、第1回レッスンの流れを追いながら、実際に感じたことをお伝えしていきます。
「アメリカ英語 発音トレーニング」とは?

日本人講師によるオンライン英会話サービス「ワールドトーク」が提供するグループ講座です。レッスンはすべてオンラインで行われます。
1回50分×全4回、毎週月曜20:00スタート。
担当はYoshino K先生で、累計10,416回というレッスン実績をお持ちの講師です。
カリキュラムはこちら。
| DAY | レッスン内容 |
|---|---|
| 1 | Tr/Dr音、無声音・有声音、子音と母音のリンキング |
| 2 | R/L音、長音母音、tと母音のリンキング |
| 3 | 無声音・有声音(f, v)、tやdと子音のリンキング |
| 4 | 末尾のL、R-colored vowel、複合子音のリンキング |
一覧だけ見ると、正直「けっこう専門的では?」という印象を持つと思います。私もそうでした。
結論から言うと、その心配はまったく不要でした。理由は記事の中でお伝えしていきます。
なお教材は講師オリジナルのPDFで、事前に配布されます。期間中はアーカイブで見直せるので、月曜20時に予定が入っても置いていかれません。
「一人開会宣言」から始まった第1回

月曜20時。画面に映るのはYoshino K先生おひとりです。
Hello Hello~!と先生の明るい声が響きます。
冒頭で先生から、こんな説明がありました。
基本このような形で進んでいくんですけれども、もちろん皆さんはこの後たくさん発音の練習をさせていただきますので、その時は自分の近くでつぶやいてもらっても全く問題ないです。
講義形式で、一人ずつ指名されて発表する場面はありません。
ミュートのまま口を動かしてもいいし、外して声を出してもいい。完全に受講者の裁量です。
発音レッスンで一番ハードルが高いのは、「自分の声を人に聞かれること」だと思います。そこが最初から取り払われているので、大人が恥をかかずに練習できる設計になっていました。
先生が「一人開会宣言でございました」と笑いながらスタートし、リアクションボタンで反応を返す形式です。この距離感のつくり方が本当に上手で、初回から場が固くなりませんでした。
この日の構成は3パート。
- 日本語話者が苦手な音(Tr/Dr音、無声音・有声音)
- リンキング(音のくっつき)
- 音読練習
先生いわく「前半はウォーミングアップだと思ってやってみましょう」とのこと。実際、入口はかなりやさしいところから始まります。
入口は「カタカナをやめる」ところから

最初のテーマはTr・Dr音です。
扱う単語がまた絶妙で、try / train / trip。そしてdream / draw / drop。
中学英語の単語ばかりですよね。でも、ほぼ全員が「トライ」「トレイン」「トリップ」とカタカナで発音している単語でもあります。
Yoshino先生は音声学的な用語をここでは一切使わず、「トライじゃなくてtry(ちゅらい)」という形で、カタカナと本来の音を並べて示していきます。
この講座の特徴が、正しい発音を発音記号ではなくカタカナを用いて表記してくれるところです。
カタカナで書かれているから「ちゅらい」とすぐに発音できます!ここが発音記号だと、その記号の読み方が分からないから上手く真似できなったりするんですよね・・・。
先生が発音し、受講者が続く。1語につき2〜3回、しつこいくらい繰り返します。
「もう今日から使ってOK」と言われて、I tried this group lesson. I tried new shoes. と例文で流し込まれるので、練習した音がそのまま実用に接続されるのも良かったです。
難しい音ではなく、頻度の高い音から入る。
初心者でも1問目からつまずかないようになっていると感じました。
「喉が震えるかどうか」で説明される無声音・有声音
次が無声音・有声音です。ここで初めて専門用語らしい言葉が出てきますが、説明はどこまでも体感ベースでした。
無声音・有声音なんて言葉を聞くと「ああ、なんか難しそう・・・」と身構えてしまいますが、心配は要りません。
有声音・無声音には必ずペアがあります。口の形が一緒なんです。で、喉を震わせて出す時と、震わせずに出す時。これで違いが出ます!
そう言って、先生は/k/と/g/を続けて発音してみせます。
違いは「同じ口で、喉が震えるか震えないか」だけ。
そのうえで、無清音(k)と有声音(g)のペアの単語を練習します。
- crow ↔ grow
- cut ↔ gut
- coast ↔ ghost
- pick ↔ pig
- local ↔ legal
crow / growのように、実際に喉に手を当てながら交互に言うと、違いが自分の身体で確認できます。
理屈で覚えるのではなく、自分の喉で判定できるようになるのが大きい。
ここで印象的だったのは、先生が「全然ダメでしたという時も、遠慮なく言ってください」と何度も繰り返していたことです。
発音は「できたつもり」になりやすい分野なので、この一言はかなり効きます。
リンキングは「知っていたのに、やっていなかった」

後半のリンキングは、私にとってすごく刺さるパートでした。
最初は易しいところから。
- is a → いざ
- is over → いぞーヴァー
- come in / come on → かみん/かもん
- hold on → ほ~うどん
- arrive on time → あらいヴぉんたいm
hold onの「Lはもはやルではなく、ただのウです」という説明には、思わず声が出ました。頭では知っていても、自分の口は律儀に「ホールド・オン」と言っていたからです。
そして中盤から難度が上がります。
- did you → でぃじゅ
- come here → かみあ
- about you → あばうちゅ
- ask your → あsきょあ
- does he → だずぃ
- can you → きゃんにゅ
私が一番「これは知らなかった」となったのがdoes heです。先生ご自身も、
私も小さい時からこのDoes heが大嫌いで。DoesのZの音とHの音がくっつくなんて思ってなかったので
と話されていて、これはすごく共感しました。
Can youはくっつけられるのに、Does heは分けて発音する。まさに私の癖そのものです。そのうえで示された整理が秀逸でした。
YとHで始まる単語は、前の音にググッと飲み込まれる可能性が非常に高いです。
you your he him her she ——ここが一本の法則でつながった瞬間、バラバラに暗記していたリンキングが一気に体系になりました。
個別の例外を覚えるのではなく、原理を1つ渡してくれる。これは指導歴の長い講師ならではだと思います。
山場は「グラント大統領と渋沢栄一」の音読

最後のパートは音読練習です。題材は、アメリカ大統領として初めて日本を訪れたグラント大統領の話でした。
1879年に来日し、長崎を経て横浜に上陸。新橋駅で当時39歳の渋沢栄一が出迎え、上野公園に夫妻で植樹をする。その50年後、89歳になった渋沢栄一がその木のそばに記念碑を建てた——という内容です。
そして両者は今、それぞれの国の紙幣に肖像が載っている。respectivelyという単語の使い方を説明するための題材としても、よくできています。
この音読テキストが、色分けで視覚化されているのが素晴らしかった!
- オレンジ:theを「ダ」で読む箇所
- グレー:発音しない、もしくはほとんど発音しないt(presidentなど)
- 黄色:語尾を上げる箇所
- 緑の斜線:音がくっつく箇所
- 四角囲み:区切らずまとめて読む情報のかたまり
語尾上げについての説明も納得感がありました。
語尾を上げる時は「まだ話し終わっていません」という合図になります。逆に下がった時は終わりました、ということになります。
たしかに、日本語話者の英語は語尾が上がりがちなんですよね。
相手に「まだ続くのか、終わったのか」が伝わらない。発音の話がそのままコミュニケーションの話に接続されているのが良かったです。
実際に手が止まったのはgreeted the president。greetedのdが後ろのtheに飲み込まれ、さらにpresidentの語尾のtは言わない。
ちょっと変な感じね。通じるのかな? って不安になるんですが、大丈夫、通じます。
この一言に救われた受講者は多かったと思います。
「省略して大丈夫」と言い切ってもらえないと、不安でつい綴り通りに読んでしまうんですよね。
ほかにもmany years(切らずにつなぐ)、laterのtがLやDのように聞こえる話、at the age ofのtheが「ザ」ではなく「ジ」になる話(後ろのageが母音で始まるため)、set up a monumentの連続リンキングなど、細かい処理が次々に出てきます。
最後は、区切り練習をしたうえで通しで音読。50分がここで終わりました。
「専門的すぎない」と断言できる理由
この講座を受けて一番強く感じたのは、発音講座なのに専門知識を要求してこないことです。
決定的だったのが、教材に書かれている音声学的な名称についての先生の一言でした。
こう書いてありますが、あんまり気にしないでくださいね。4回終わった後に「ここはうまくいったな」「ここは難しかったな」と復習する時の目印になればと思って名前を載せているだけですから、これ自体を調べる必要はございません!
これ、発音学習者にとってはかなり大きいと思います。
多くの発音教材は、用語を理解することが前提になっています。だから初心者は「まず発音記号を覚えなければ」で止まってしまう。
この講座は用語を索引として扱い、やることは口を動かすことだけに絞っている。
説明が「喉が震える/震えない」「ルじゃなくてウ」「トライじゃなくてちゅらい」と、すべて日本語の身体感覚に翻訳されているのも同じ思想でしょう。
カリキュラム表の「R-colored vowel」という文字面に身構える必要は、まったくありませんでした。
初心者が受講しやすい理由をまとめると、こうなります。
- 指名も発表もない講義形式。声を出すか出さないかは自分で選べる
- 扱う単語がtry train dream pickなど、中学レベルの頻出語
- 専門用語は目印であり、覚える対象ではないと明言されている
- 教材が色分けされていて、どこをどうするかが一目でわかる
- アーカイブで何度でも見直せる。1回で完璧にする必要がない
一方で、中〜上級者にとって物足りないかというと、まったくそんなことはありませんでした。
Does heのリンキング、Y・Hが飲み込まれる法則。このあたりは英語上級者でも普通に抜けている領域です。
むしろ「聞けば分かるが、自分では言えていない音」を潰す作業なので、リスニング力がある人ほど伸びしろを実感できると思います。
まとめ:入口はやさしく、中身は本格的
第1回のレッスンを終えて感じたのは、この講座が「発音の敷居を下げる」ことに徹底的にこだわっているということです。
発音は、本来もっとも成果が見えやすい分野です。単語を1,000語覚えるより、tryのtrを直すほうが、相手への伝わり方は劇的に変わります。
それなのに多くの人が手をつけないのは、敷居が高いイメージがあるからにほかなりません。
Yoshino K先生は、その入口を「喉に手を当ててみましょう」「カタカナをやめましょう」という高さまで下げてくれます。
そのうえで、扱っている中身はリンキングの体系化や語尾のイントネーションまで及ぶ、しっかり本格的なものです。
初めて発音に取り組む方はもちろん、私のように「英語は勉強してきたけど発音だけ放置してきた」という方にも、ぜひ受けてみてほしい講座です。












